5:00 p.m. – Homemadeのジンジャーシロップ

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まだまだ夜の10時くらいまで明るい夏。寒暖の差はあるけれど、からっとしてとても過ごしやすいヨーロッパ。雨の多いお国柄、太陽が出ている時期には皆一斉に陽を浴びるべくテラスやバルコニーで過ごす。海はなくとも水辺の多いアムステルダムは、いたるところにたっぷりと水を湛えた運河や川があり、暑いのに涼しげな景色が心地良い。夕方5時になってもまだまだ太陽は頭上高く、瑞々しい緑に木漏れ日をつくる。

 

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たまの暑い日はしゅわっとする炭酸が飲みたい、でも市販のジュースは甘すぎる。一度作ってから常備するのが当たり前になったのが、手作りのジンジャーシロップ。炭酸水で割るとジンジャーエールに、ウォッカを加えてモスコミュールに。紅茶や料理のひと足しにも大活躍。明るい夏はディナーの時間も遅くなりがちで、夕方のちょっと一息つきたいころはジンジャーシロップを仕込むのに最適な時間。この時間に、ゆっくりと作業をするのが好きなのだ。

 

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生姜は青空マーケットで気軽に手に入り、場所によっては3kg €2と言われたこともあった。手のこぶしほどの大きさでも、200gほどのはず。ほとんどただみたいな価格に耳を疑ったが、本当だったのにはびっくり。2−3つでも50ctほどだった時には間違いかと思って、思わず何度も確かめてしまった。ごつごつとして立派で、水分をたっぷり持っていて表面はすべすべ。花を近づけると爽やかなにおい。いつも新鮮な生姜がたっぷりと使えるなら、断然チューブタイプよりフレッシュなものがいい。

できるだけ身を無駄にしたくなくて、包丁の背とスプーンでこするように皮を剥く。皮は醤油につけておくと香りが移って美味しい生姜醤油に。身は適当な大きさにカットし、スライスしたらざらめをまぶすときらきらと輝いて、まるで11月の初霜の景色のようだ。そのまま1時間ほど置いて待っている間はまた仕事に戻ったり、ディナーの準備をしたり。爽快に晴れた日は特に、よく冷やしたワインをキッチンで立ち飲みするのも好きなのだけど。

 

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1時間ほど置くと、水分が出てさらさらとしたエキスがたまる。夜、日が沈んだときにここまで終えて、一晩じっくりと置いてもいい。クローブやシナモンなどスパイスを加えるレシピもあるけれど、和食などの料理にも使いたいので私はいつもシンプルに砂糖だけ。たまに黒糖やレモンを少し加える時があるくらい。ミントをこのとき加えたり、りんごなどのドライフルーツを入れると爽やかな風味になりそう。ドリンク限定の時に今度試してみたいと思っているもの。

 

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あとは水を、身がかぶるほどに足してくつくつと煮込むだけ。30分くらい、と言われているが、欲張っていつも40分ほど煮てしまう。だんだんとろりとしてくるシロップから、ジンジャーの甘くスパイシーな香りが部屋いっぱいに広がってくる。待っていてもいいんだけれど、だんだんと濃くなってくる色や香りに惹かれ、ついつい眺めてしまうのだ。

 

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煮沸した瓶にできたてのシロップを注ぐと、きれいな半透明の蜂蜜色になる。もちろん煮込んだ身にも染み込んでいるので、ぎゅーっと絞って最後の一滴まで。舐めるとぴりっと刺激があって、鼻から抜ける爽やかな香りがたまらない。煮込む時間の長さや、毎回作る量も違うのだけれど、今回の出来は…と試しながら好みの量を探るのも好き。スパイシーな風味が生きるのは手作りならでは。

 

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出来上がったジンジャーシロップに炭酸水を注ぎ、たっぷりライムを絞るとhomemadeジンジャーエールの出来上がり。ピリッと刺激がたまらない、甘さ控えめの大人の味だ。一度飲むともう市販のものでは物足りない。これだけでももちろん美味しいのだけれど、太陽の気持ちよい日はグラスを凍らせて、ハイネケンに加えるのもまた美味しい。たくさん作ってもすぐになくなってしまうので、今では冷蔵庫に欠かせないものになっている。

 

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そして、おまけとして。残った生姜は醤油を垂らして炒め、ごまをまぶして佃煮に。ご飯がいくらでも食べたくなる、おにぎりの具や副菜にぴったりの常備菜になるのだ。平たいプレートに広げて、一晩乾かすとしゃきしゃきした口あたりになって、なおおすすめ。コリアンの友達には大好評だったけれど、その子のボーイフレンドのフランス人には甘塩っぱいのが不思議な味のようで頭をひねっていた。(Very asian taste…だそう)

すべて余すところのないジンジャーシロップ作り。素材も調理法も明確でシンプル。混じり気のない潔さも心地いい。何かを同時進行しながら丁寧にじっくり作る、そんな過程は急ぎすぎた心の焦りや、あれこれ考えていっぱいになった頭をクリアにしてくれる。

Homemadeのジンジャーシロップ
・生姜  できるだけフレッシュなもの。表面に張りがあるものがおすすめ
・砂糖   ざらめなど、お好みのもの。きび砂糖や黒糖、コクのあるものを加えてもGood
・水 鍋に入れたときにかぶるくらい。途中で蒸発したら少しずつ足しながら
生姜の剥いた後と、砂糖のg数は同量。(100gなら砂糖100g)
・保存瓶  蓋ができるものがおすすめ。煮沸消毒をお忘れなく

 

 

From F.G.S.W. July 15, 2017