The Best Coffee in Amsterdam – コーヒーはワイングラスで

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ヨーロッパのコーヒーは美味しい、と日本やアメリカから来た友人たちはみな口を揃えて驚いている。ここオランダでも、コーヒー文化のレベルはとても高い。

わざわざStarbucksに行かなくても€2前後で挽きたてのエスプレッソやアメリカーノが飲めるし、ラテは€3でおつりがくる。カフェ独自のロースターでBeansを揃えているところも多く、個人向けのワークショップを開いているカフェもあちこちにあるほど。節約家のオランダ人でも、日常に美味しいコーヒーがあるのは別格で当たり前の風景なのかもしれない。

Barbar、インテリアショップ、書店やデニムショップでも、素敵だと思うショップにはたいていカフェが併設されていて、コーヒーを楽しみながらゆったりとショッピングができる光景は見かけるたびに気持ちがいい。どこへ行っても香ばしい匂いが鼻をくすぐり、どのロースタリーの豆を揃えているかでショップが持つセンスや感度の良さも伝わってくるのだ。

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アムステルダムにある「Scandinavian Embassy」はオランダのバリスタチャンピオンがいるカフェ。公園の向かいに店を構えている、知る人ぞ知るシンプルで小さな佇まいだ。

ヨーロッパの「公園」は、まるで森のように大きなフィールドで、自然の中を歩いているよう。外から見てもこんもりとした緑の木々が生い茂って、瑞々しい景色をつくる。夏は店内からの窓はめいっぱいの緑が眺められて心地良い。

 

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決して広くはないけれど、無垢の木を使った素朴で温かな手作り感のある店内。注文すると目の前でコーヒーを淹れてくれて、カウンターの中では手焼きのスイーツやフードを仕込んでいるのが見える。

反対側には、ブリックを白くペイントした味わい深い壁がある。解体をした時の、欠けた凹凸や年月を重ねた歴史をさりげなく感じられる壁はとても絵になるので、インスタグラムの格好のフォトポイントだ。

 

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蜂蜜漬けのナッツ、ミューズリー、チョコチップや砂糖などが並ぶ。何になるかわからないけれど、コーヒービーンズが液体に漬けられているものも。使い込まれたキャニスターが整然と並ぶ姿は美しくて、ちょっと真似してみたくなる。ガラスから中身が見えるという景色は、想像を膨らませて楽しい。

 

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数々の獲得した賞や、トロフィー。2017年の「Dutch Brewers Cup」のチャンピオンを獲得した証も、ここにある。今日はチャンピオンはいなかったけれど、とても可愛らしい女性とのこと。KINTOや、HARIO、日本のプロダクトがオランダのカフェシーンでも大人気。母国のものが愛されているのを異国で見るのは少し嬉しくなる。

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とても暑い日だったので、メニューで惹かれた「Coffee Tonic」をオーダーすると、サーブされたのはワイングラス。Cold brewで丁寧に淹れられたフルーティーなコーヒーの酸味に、トニックウォーターの爽やかさが加わって、「コーヒーのフレッシュジュース」と表現したくなる味わい。

ワイングラスは香りを楽しめるため、Cold Brewのコーヒーを楽しむのに向いているそう。でも、ステムを持ちながら飲むのは気持ちをひとつ上に高めてくれるのもなんだか嬉しくなる。特別な時間を楽しんでいるような気分で、コーヒーを飲むのも格別だ。

 

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Scandinavian Embassy
Address : Sarphatipark 34, 1072 PB Amsterdam

 

 

From F.G.S.W. June 25, 2017

 

Universe on “Teema”

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普段からマグはFire-Kingを愛用していたけれど、ときにはもう少しベーシックできちんとした雰囲気のあるものを使いたいと思っていた。そう思いながらマグ探しをしてどのくらい経っただろうか。ずっと候補にあったのはHASAMI PORCELAIN。ベージュと黒のクールな色のコンビネーションに、ざらっとした質感、切り落としたようなすっきりしている淵、どれも個人的なツボ。でもオランダではなかなか見かけなく、片思いのまま今に至っている。

 

 

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朝にコーヒーを淹れてくれる人の背中を見ていると、ふと自分の中に降りて来た(この表現が正しいのかはわからないけれど、自分の感覚としてはこうなってしまう)のがiittalaの”Teema”。テーブルの上に、ホワイトのTeemaから湯気が立ち上るコーヒー。ああここにTeemaがあったらな、とことあるごとに思い描くようになっていた。

 

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ベーシックな形で、ぱっと見は控えめ。scopeで「偉大なる普通のマグ」と表現されていたことがあったけれど、言い得て妙な表現だ。でも、見れば見るほど手にしっくりと馴染むフォルムや、重さ、絶妙な丸みに真っ白すぎない温かみのある色、釉薬の艶。どこから見ても”iittala”なのだ。すべてがすとん、と自分の中に落ちる。

存在感は定番となった今、いつでもどこでも買えるほどよく街で出会うので意識をしていなかったけれど、2017年のNewカラー「dotted blue」を見た瞬間、私はたちまちその宇宙のような深い青に恋に落ちてしまった。

 

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黒だと強く、白だとソフトな印象に。でももう少しテーブルにインパクトが欲しいとき。dotted blueはほどよくスパイスを加えて、存在感も抜群。なにより料理の色がよく映える。
藍色のような深みのある青は、洋食だけでなく和食とも相性が良い。星空のようなドット模様は単色よりもストーンのような質感にも似て、ちょっと高級感を出せるのもお気に入りになった理由のひとつ。

 

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と、これを機に今まで温めていたものが弾けるように、マグやプレート、ボウルが増えていくことに。どちらかというと地味で定番…だったイメージは、使ってからというものすっかり虜になっている。

オーブンでも使える耐熱仕様なのに、グラタン皿のように分厚くないのもすごいところ。そしてぴったりと重ねてスタッキングできるスマートさ。使っている時も、使っていない時も気持ちが良くて、もっと早くに迎えるとよかった、なんて今では後悔するほど。お気に入りの食器はいくつもあるけれど、買い足しがしにくかったり、他の食器とのフィット感がいまいちだったりして食器棚がごちゃごちゃになってしまうのがずっと悩みの種だったのだ。

 

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10年、20年、あるいはもっと経っても「あのデザイン」だと思い出せるのはさすがiittala。どの料理がのっても、どのお皿と組み合わせても、飽きず、料理よりも主張しすぎず、テーブルを引き立たせる絶妙な加減の位置にいる。料理の時間がとても楽しみになるという思わぬ副産物(!)が生まれ、箱にある文字 ”TIMELESS DESIGN” の意味を深く実感する日々だ。
「このお皿で何を食べようか」と考える時間が永遠に楽しみになればいいのに、と思っている。

 

iittala official
HASAMI PORCELAIN official

Teema mug photo @iittala
HASAMI PORCELAIN photo TRNK

 

 

From F.G.S.W. June 23, 2017

My Favorite Chair by Maharam

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いつかお気に入りの椅子を迎えよう、と思ってはいるものの、優柔不断な私はなかなかひとつには絞り込めないのが良くないところ。いくらでもお金があれば、ハンギングチェアも、ゴールドのダイヤモンドチェアも、ドロップチェアを色違いで揃えたりできるのに…と夢(と欲望)は膨らむばかり。

あるとき一目惚れしたOvergaard & Dyrmanのチェア。360度どの方向からみても美しくて、レザーの質感も、無骨さとエレガントさのバランスも、自分にとってはPerfect。

 

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ある日行きつけのインテリアショップで見かけ、本物はやっぱり美しい!とあらためて惚れ惚れしたものの、価格もそれはそれは素晴らしいもので今の自分には手が届かず。一脚で軽く€3500を超えていたので、好みの色でオーダーするとさらに+optionになるのは明らかだった。
いつか贅沢に2脚迎えられるようになろう、と思いながらときめく椅子との出会いを夢みておくことにする。それにしても、どのディテールもため息が出るような佇まいだ。

 

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今の家がFurnishedのため、入居時にはすでにダイニングセットはあったものの、座面が硬くてとても長く座っていられるものじゃない。何より、好みじゃない…。ということで一脚は自分の椅子が欲しいなと思い、いろいろなものを吟味していた。

いつか一脚は持っておきたいなと結局のところ行き着くのはEames。ウッドもいいけれど、ブラックのエッフェルベースがEamesらしくて好みである。問題はカラー。万能カラーのブラックか、アクセントに映えるマスタードか、エンジはブラックの脚との相性がとても格好いいし、グレイッシュな色も捨てがたい…ひとつ、となるとなかなか決められないのだ。おそらくそれが永遠の名作と言われるEamesのチャームポイントなのだろう。

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アムステルダムで行われた、ヴィンテージ家具のフェア Design Icons。
「これだ!」という一脚に出逢えるかどうか、一縷の望みをかけて会場へ。ヨーロッパ中からヴィンテージ家具のディーラーが集まり、デザイナーズ家具や照明を並べる。
会場は元造船所だった会社の工場跡地。インダストリアルな雰囲気とヴィンテージ家具のコラボレーションは、宝探しの匂いがしてワクワクする。

 

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旧型のFRP製Eamesチェアもずらりと勢揃い。ベーシックなカラー以外のものもたくさんあり、デニムのようなインディゴは特に人気があった。
2日間あるうちの、初日はチケット価格も倍、さらに開始から2時間はプレミアム価格がつけられている。バイヤーが狙いに来るのも無理はないラインナップばかり。

 

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そこで惹かれたのは、C&R Eamesのファブリック張りのもの。FRP製のシェルサイドチェアにMaharam社のテキスタイルがあしらわれている。クッション性があり、FRPだけよりも柔らかくて座り心地も良い。FRP製はグラスファイバーの質感がヴィンテージ色も強いけれど、ファブリックのモダンさも合わさるとインテリアにもずっと合わせやすくなるだろう。
あれこれ考えるよりも直感で、すでに心はこのチェアに持って行かれてしまっていた。

 

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相棒となったのは、Alexander Girardデザインの” Toostripe “。ストライプの細さのバランスが絶妙で、背面はわずかにアイボリー色のFRPが見える。しっかり ” Herman Miller “社のエンボスもついている正規品。ベージュと黒のストライプ柄が気に入り、私の最初のFavorite Chairとなった。

 

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永遠の定番だからこそ、受け継がれながらずっと使い続けられる。そして誰かのデザインがプラスされて新しいスタイルが生まれ、時代を超えてインテリアのシンボルとなる家具はチェアが特に奥深い。その背景のストーリーを探るのはたまらなく面白くて、My favorite Chairs探しの旅はまだまだ続きそうだ。

Herman Miller Official web site
Maharam Official web site

Chair Photo by Overgaard & Dyrman
Texitile Photo by @bartschultzdesign

 

 

From F.G.S.W. June 19, 2017

Moments # 7: Keep your head up

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ホテルのロビーやカフェが好きだ。

ゆったりと流れる独特な時間は、忙しく回る街のカフェよりもずっと落ち着くし
美味しいコーヒーも€2〜。 セレクトされたBeansは街の賑わいのあるロースタリーから仕入れているものも多く、そこで発見やインスピレーションを得たりできるのはホテルならでは。

どこからかこの街へ来て、そしてまたどこかへ帰る人々を眺めたり
あるいは自分もその一人になったり。
どこか日常にはなりきらないドラマチックな空気感があると感じるのは大げさだろうか。
その日私は待ち合わせをするであろう女性を眺めていた。
時計を何度も見つめては、窓に目をやって通りや運河を気にしている。

緊張している面持ちも可愛らしく、おそらく彼女の大切な人がここへくるのだろうか
時間までをここで過ごしているのだろうかと思いを巡らす。

もうすぐ彼女のカップは空になるはずだ。

数十分後、彼女は立ち上がって席をあとにする。どこか憂いのある眼差しと、すっと前を見るきりっとした表情と。女はどこまでも強いのだ。

 

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From F.G.S.W. June 7, 2017

 

Special Bottles for Lazy Morning

 

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気持ちの良い風で起きる朝は、コーヒーもいいけれど
炭酸で割った爽やかなリキュールを飲みたいときもある。
ほろよいの朝も、たまにはいいものじゃない?

 

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そんな時間にぴったりの、ふと入ったワインショップで見かけた美しいボトル。

クラシカルな雰囲気に、控えめな大きさの中には色とりどりのリキュールが満たされている。少しほこりのかぶった棚に整然と並ぶ姿に、いつのまにかすっかり魅了されていた。

 

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当然全てラベルはDutchで書かれており、ひとつひとつ手に取り、色や単語でフレーバーを推測してはうっとりと眺めていた。
すると店主が珍しそうに寄ってきて話しかけてくれる。
「気になるものがあったら何でも聞いておくれ」と笑い
どうやらこちらは アムステルダムに古くからある蒸留所で作られているものだとのこと。

そのとき私は、ボトルの中に金銀の箔がきらきらと輝いているものを持っていて、何のテイストなのかと想像をふくらませていたときだった。

ボトルの名は「Bruidstranen」。

 

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これはどういう意味なの? と思わず口にすると、初老の店主は ふむ、と微笑みながら

“tranen”は涙のことだ とジェスチャー付きで教えてくれ、
“Bruids”は結婚式、すなわち「花嫁の涙」というんだよ

きらきらとした金と銀の箔は喜びと、悲しみの両方の涙を表しているもの。
角度を変えながら瓶の中を覗き込むと  雪がはらはらと降るように箔が舞い降りる。
なんて美しいリキュール!と心の中でふわりと花が咲いたような気持ちになった。

 

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こちらのミニボトルはまるで花嫁のヴェールを被せた可憐な姿で、結婚式の引き出物にも使われるそう。

喜びと、ほんの少しの寂しさと。人生最良の日は、良い涙だけとは限らない。

 

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フレーバーは、ローズがベースにオレンジ、アーモンド、ナツメグ、シナモン…
まるでフレグランスの調香のよう。一体どんな味わいか、想像しただけでワクワクする。
もちろん60種類以上のバリエーションの中には、ストロベリー、マンダリン、ジンジャーなどブレンドがされていないものもあり。一番人気は”Yuzu(柚子)”のジンなのだとか。

ひとつひとつにシーリングワックスが施されたボトルたちにはどれも素敵な名前が冠されていて、思わず誰かにプレゼントをしたくなる。
失恋した人を慰めるためのお酒  “Bittere lijdenstroost”  はオレンジとバーボンのほろ苦い味。
仕事終わりの開放的な時間を思い切り楽しむ “Kwartier na vijfen“。
恋人たちがエキサイティングな時間を過ごしたあとのための –  “Volmaakt geluk”  はバレンタインデーのためのリキュール。

“Hef je shirt op”  あなたのシャツを持ち上げる、なんていうものも。

 

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その時の気分のボトルをロックで浸るのも
あのとき あんなこともあったよねと思いを馳せながらワインとブレンドしても。
たまには起きたてのLazy morningな時間に、朝からアルコール!なんてとびきりの楽しみを持つのもいいかもしれない。

 

蒸留所
A. v. Wees  Distilleerderij   de Ooievaar

Photos by Kate zimmerman
@proeflokaalvanwees
@harwellphoto
@tinummela

 

 

From F.G.S.W. June 2, 2017

Moments #4: Don’t Cry at the Station

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駅  や  空港 の表示板を見るのはいつも胸がきゅっとする。
いつか一緒に行きたいね なんて約束をしたことがある街の名前は平然とそこにあり

そうか  ここから行けるんだ

叶うといいな なんて思っていた淡い気持ちは
たっぷりの水を湛えたグラスの中に一滴青いインクを落としたように
うすく うすく私の一部になっている。

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懐かしい地名はどんなに意識をしていなくても ふと頭の中で鈴の音のように響き
振り返ると そこにいるんじゃないか って思ってしまいそうになる
あのとき もう一度約束をしていたら

どうなっていた?

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All photos by Kaori / F.G.S.W.

 

 

From F.G.S.W. May 20, 2017

 

 

King’s Day in the Netherlands

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オランダ中がオレンジ色に染まる日、4月27日はKing’s Day(オランダ語では Koningsdag)を迎えた。国王のウィリアム・アレキサンダーの誕生日を祝う日として、オランダで一番大きな祝日でもある。

 

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イースターが終わるとこの日が近くにつれ、オランダのナショナルカラーであるオレンジ色(通称Dutch Orange – ダッチオレンジ)のものが街に溢れるようになる。洗剤などの日用品からネイル、お菓子、ワイン、オレンジカラーのすべてのものが大セール。オランダの国民はこの日を祝うべく、シンボルカラーのファッションを身につけ、帽子やコスチューム、フェイスペインティングでこの日に備えるのだ。

 

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アムステルダムではパレードが開催され、運河はオレンジカラーをまとった人々で埋め尽くされる。国民全体がこの日を待っていて、街を歩けばフラッグやお菓子、ウィンドウディスプレイまですべてオレンジに。

テクノ音楽が盛んなオランダ、船はDJを乗せて運河を巡る。あちこちで人々は踊り、音と光を織り交ぜながらのお祭り騒ぎ。

 

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本格的にこの日が近づくのを間近で見るのは今年が初めて。一体感にあふれ、気持ちも明るくなるオレンジを見つけながらの散歩は、King’s Dayまでのカウントダウンでわくわくするひととき。

 

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この時期を控えるショップやファッションブランドは揃ってオレンジカラーを揃え、シックなカラーの多いZARAや、大手のデニムブランドであってもダッチオレンジを取り入れる徹底ぶり。オリジナルのカラー設定があるのかもしれない。

いかにもオレンジにしただけでなく、ファッショナブルでシルエットも綺麗なものがあるのがデザイン先進国オランダだと感心するところ。上手に着こなせば、普段使いもできそうなものも。

 

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オレンジは、オランダ語で「Oranje(オラニエ)」。16世紀、スペイン領だったオランダは独立戦争で国家として独立を勝ち取った歴史がある。その指揮をしていたのはWillem van Oranje(ヴィレム・オラニエ公)。現在のオランダ王室にもその名前が受け継がれ、オラニエ公を称える色としてオレンジがオランダのナショナルカラーとなった。

オランダにとってオレンジは、独立の象徴であり、自由を勝ち取った歴史の忘れがたい色。自国を愛し、誇りを持つオランダの人々は祝日やユニフォーム、イベントで必ずオレンジを掲げている。

シンボルである色には、悲しい歴史を乗り越えた歴史を持つ愛があふれているのだ。

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スーパーやドラッグストアでは、この時期だけのパッケージや食べ物が見つけられて、見ているだけで心が明るくなる気がする。必要がなくても、デコレーションされたクッキーやドーナツが誘惑してくるショッピングは楽しくも辛いもの。

雨やみぞれが続いていた3月の天気も回復して晴れ間が少し多くなってくる時期、肌寒い中でもみんなそわそわして準備を迎える。

 

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当日はオレンジ色のワインで乾杯をし、スイーツを食べ、コスチュームやシャツを身につけて、盛大にKing’s Dayをお祝いするのがお決まり。パーティーやイベントも各地で開催され、眠らない日になる1日。

街はオレンジ色のフラッグや風船、マーケットでいっぱいになり、でも少し路地にはいるとマリファナの匂いがむうっ、とする。

 

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そして各地の公園やストリートでは、道を塞いだり、出入口の邪魔をしなければ誰もが自由にフリーマーケットを出店できる日でもある。子どもにとって、おもちゃや服を出してお小遣いが得られる貴重な体験ができる、ワクワクする日。オランダがのびのびと子どものクリエイティブ性を引き出す国であることを感じるユニークで優しい伝統だ。

道ゆく人に声を掛け上手に商売をする子。ダンスやパフォーマンスを披露する子。ペインティングやお絵かきをして小さなコインを手に入れる子…どうやってお小遣いを作るか、それぞれに自分の長所とアイデアを思い切り発揮!

 

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オランダ人じゃない私も、この日はOranje bitterとダッチオレンジのTompoesで乾杯。美味しそうなケーキを食べたくて、わたしにとってはこの日が早く来ないかな、と待ち遠しかった日。

もうひとつ、ずっと心を惹かれていたオレンジのガーベラを買いに行くことにしよう。

 

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King’s Day – i amsterdam website

 

 

From F.G.S.W. April 30, 2017